●昼、バスでラ・パス郊外へ。月の谷という、なんでもまるで月面のような地表になっている観光スポットへ行く。いや、まるで月面のような地表だ。どちらかと言うよりは、月の谷のすぐ横にあるスタジアムで行われていた草サッカーの試合や、その月の谷の少し先にある動物園の方がよっぽど面白い。
●草サッカー。もしかしたら草サッカーじゃないのかもしれない。爆竹はなるわ。閑散とした観客席で踊ってる人はいるわ。草サッカーでこれだったらプロだったらどうなるのかしら、とそういえば自殺点して殺されたコロンビア選手がかつていた。たしかアメリカワールドカップ。
●動物園。無駄に広い敷地。地元のボリビア人もいるのだけど、彼らの園内における動きを追う限りそれほど動物に執着していないように思える。動物園なのに。公園でアスレチックに興じていたりバギーにのって遊んだり果てはなんかただ芝生で疲れている、といった人たちの数の方が、動物の檻を見て回っている人よりもはるかに多い。そういうわけで園内はやたら閑散としている上に、今日はとても日差しが強い。この暑い昼間ほとんどの動物はもちろんグダグダに寝ている。動きがあったのは猿くらい。にしてもピューマみたりコンドルみたり。うごいてないけど強そうでいい。入口もよかった。今日はこれの隣のライオンの方から入った。目の部分が開くのです。
●で、夜。サタデーナイト。
宿のみなさんに便乗して日本会館で行われているというお祭りに行く。ジャパンソサエティーの建物内に屋台もあれば、矢倉がくまれてその上にちゃんと太鼓ものっている。日系の方々が踊っている。見た目も全くのアジア系からスペイン系までの鮮やかなグラデーションが円を成してアラレちゃん音頭。ボリビア来て焼き鳥食いながらアラレちゃん音頭が聴けるとは思っていなかった。しかもその後には和太鼓のパフォーマンスまであり大満足。
●そのままのいきおいでラ・パス新市街へ。ラ・パスでもやはり若者の盛り場。クラブへ行く。最初ドラゴンフライというナウな名前のクラブに行ったら入れて貰えなかった。どうやら小汚いチーノが大挙して押し寄せてきたので黒服もびびったようです。その後ブラブラと街を歩きながら驚いたのは、行き交う人はほとんど白人であること。昼の旧市街にはほとんど若者らしい若者はいないばかりか白人なんてほとんど観ない。しかし若者が集う夜の新市街には、おまえら昼間どこに隠れとる?というくらいの凄い数の白人ばかり。身なりもみなさんパリッと決めておられまして、上下フリースの僕なんてもうどうしたらいいのでしょう。まあフリースは楽なのでいいのだけど、ペルー、ボリビアでこれまで育んできた南米像がくるっとひっくりかえる。
他のクラブへ。今度は入れた。
ラ・パス中のナウなヤングはみんな来てるんじゃないか、という店内。DJがいて音楽を流しているというのは同じなのだけど、なんだか少し違う。DJの他にMCが常にいる。しかもやたら活動的。最初はまだ時間が早いのでなんか話しているだけかと思っていたのだけど、人が集まり盛り上がりだしてもまだ話し続けている。というよりも歌ってるよ。流れている曲に合わせてラップもするよ。スペイン語がわかったらもうきっと韻も踏みすぎてるんじゃないか、ていうくらい。音楽もメロコアからテクノに繋げてきたと思った瞬間には既に「夢のカリフォルニア」が流れている。クロスオーバーどころか30秒ごとくらいでジャンルが変わる。そんな状況の中、隅の方でビクビクしていると、ボリビアンの中にかなりいい踊りをする奴がいた。かなりアヴァンギャルド。しばらく釘付け。ビール2本のんで酔っぱらっていたので、戦いを挑んでみた。彼の真横で元気玉作ってやった。目が合う。
「オウッ!ゲンキダマァ!」
と彼が言ったかどうかは知らないが、僕に気が付いた様子。そしたらもう彼、なんなら頭でまわるぞこの野郎なみのブレイクダンスを一通り披露した後、僕に指を指してきた。この時、頭をよぎったのはシブヤHの家で観たDVDのシティ・ブレーカーズ(うろ覚え)のパフォーマンス。
え?
オレの番?ごめんなさい。戦わずして負ける。
そしてやはりまた隅の方に戻りビクビクしていたのだけど、呼吸が苦しい。手足がしびれる。さっきちょっと踊っただけなのに酸素が足りない。元気玉つくっちゃったせいだろうか。ただでさえ空気の悪いクラブ店内、しかもここは富士山頂と同じ標高。
「ここ!富士山の頂上ですよー!空気薄いよー!」
目の前で狂喜乱舞しているボリビアン達に伝えたい。
スペイン語ができないってなんて不便。
投稿者 ta : 2004年11月20日 19:43