●つい最近判明したことだが、どうやら標準語では「ひっつきボンボン」のことを「ひっつきボンボン」とは言わないらしい。
秋口、犬が散歩で原っぱをかけまわると戻ってきたときには、足から腹部にかけて大量にぶらさげてもどってくるアレのことだ。実家で飼っている犬は短毛の種類ではないので、嫌がる犬からそれを1つ1つ手探りで取っていく作業が散歩の後に発生する。いや別にとらなくてもいいのだが、俺がそういう作業が嫌いではない。とらない場合、やはり犬は足やお腹にそれらがついたままだと居心地が悪いらしく、やっきになってそれらを取り始める。歯で無理矢理むしり取るといった感じなので、もちろんその後それらのひっつきボンボンを器用に集めてケージの隅にまとめておく、といったことができるわけもなく、そのままひっつきボンボンを食べてしまう。美味しいものなのだろうか、ひっつきボンボン。
では一体あれを標準語では何というのだろう。
という疑問をSに投げかけてみると、意外な答えが返ってきた。
「オナモミだろ。」
ああ。そうさ。あれは確かにオナモミだ。何も間違ってない。
しかしそういうことじゃなく。友だちとアレを喜々と投げ合っていた子どもの時、あれを何と読んでいたのか知りたい。疑問の意味を訂正し、もう一度尋ねてみた。
「いやだからオナモミだって。」
やはりそれはオナモミだった。オナモミはオナモミで、どうやら「ひっつきボンボン」なんていう洒落た愛称は存在しなかったらしい。ということは、
「きゃーっ、鈴木君がひっつきボンボン投げてきたよー。イターイ。」
「大丈夫。鈴木はまだまだ投げ込みが足りないよ。」
といったような男子女子の愛らしいやり取りもなかったのか。それともこれがオナモミだった場合、そのやり取りはこうなってしまうことが予想される。
「きゃーっ、鈴木君がオナモミ投げてきたよー。イターイ。」
「大丈夫。オナモミは成熟した実を漢方で蒼耳子(そうじし)といい、発汗剤・鎮痛剤とする。」
する。と言われてもねえ。
発汗剤なら犬食べてもいいんだ、と気がついた。
投稿者 ta : 2006年2月 9日 16:46