先々週あたり、ぐるりのこと。観てきた。とても良かった。
橋口亮輔監督作品。心のベスト10にランクインする名作「ハッシュ」以来、なんと6年ぶり橋口監督作品。橋口作品といっても今度の題材はゲイじゃない。男女の夫婦の話。たまたま夫婦で観にいったこともあり、その他にもいくつかその主人公達との共通項を勝手に見出し、もの凄い勢いで感情移入してしまった。要は全く何処にでもいるような人達の話なのです。それにしてもリリーフランキーの役が格好良すぎる。
前作「ハッシュ」までは、キャスティング、演出、編集といったようなあくまで映画としての素晴らしさ、だったり、「青春」「甘酸っぱさ」「大人」といったキーワードであったりと、ある程度外から観ることができる感じがあった。ある外側から覗くことで自分も冷静に観られる分、自分も作品から逃げられていたというか。そうそう2丁目の人ってこうだよね、と。が、今度にかぎってはそういう余裕が全くこちらにない。高架すぐ脇のオフィスが電車の音に圧迫されるシーンや、本屋で女の子に激突するところなど、正直席を立ちたくなるほど辛かった。でもそこを乗り越えたからこそあらわれるというか、観ることが出来る後半の展開が素晴らしく。こんな幸せな体験もあまりない。ああ。すげえ良かったわ。
それにしても「二十歳の微熱」「渚のシンドバッド」「ハッシュ」と、橋口監督はかなり寡作だ。調べてみると962年生まれ。渚のシンドバッドを撮ったのが33歳ってのに驚いた。
投稿者 takeyama : 2008年6月29日 22:30