●昼、H、Tとクイーンズにある古着屋へ。安いよ安い。半袖Tシャツを2枚くらいしか持ってきていないのでこちらで買わねば買わねばと思っていたにも関わらず、なかなか古着屋さんに出会わなかった。そしてここはとても安い古着屋さんにも関わらず、なぜかTシャツの数が以上に少ない。見渡す限りジャケットやフリースの類ばかり、ってこれからの季節に準じているだけで古着屋さんには何の落ち度もない。ジーンズメイトってNYにないのか。とりあえずフリース買う。
帰りに通りかかったクイーンズの病院はその建物内にマクドナルドがある。アメリカ凄いぞ!
●夜、HTWMと一緒にTONICへ。Marc Ribotのライブを観に行く。
凄く楽しみ。もうものすごい。かのTONICとは一体どんなところなんだろうとドキドキしながらWrnに案内された店の前は、言われないと分からないくらいに普通の建物。窓のところに小さくTONICのロゴがコピーされたA4用紙が貼ってあるだけ。グオー。相当格好いい。よっぽどTシャツまで購入してしまいそうだったが踏みとどまる。だってまた来ますから。
で、中に入ると既に演奏は始まっている。すすけた赤いカーテンの前に黒人のおっさん3人(きっと有名な演奏家)とマーク・リボーが並んでいるだけでもう感動。そして音楽はSpiritual Unityという名前でフリージャズ。格好いい。もうドラムの人なんか凄すぎてなんかもう不思議。演奏終了後、ステージからそのまま客席に降りてきたリボーに握手してもらう。うれしい。
●今夜は月食です。街角で4人でふと月食を眺めると、その行為が伝染する。気が付くと周りのアメリカ人も足をとめて同じように月を眺め始めていた。
●昼、ユニオンスクエアで絵を描いているRさんを訪ねる。沖縄組と一緒にブルックリンに滞在しているRさんは東京在住の絵描きさんなのだけど、選挙にあわせてこちらに来た。Vote for Peaceという看板を掲げて道行く人に無料で似顔絵を描いている。そして代金をもらう代わりに選挙に行ってくれ、ということ。とてもパワフルだ。
●チェルシーへ。倉庫街にギャラリーが軒を連ねている。ガイドブックを忘れてきたので、どこがどこでどれが何のギャラリーなのかよくわからんままに日が暮れる。でも素敵な本屋さんを見つけたのでよし。
●夜、NYUへ。Sさんの授業を見学に行く。Patty Changを招いて彼女のビデオ作品を観る。何言ってるのかは全然分からなかったが、ビデオ面白かった。T、S、Rさんと御飯。食べて飲んでまた先に寝る。目が覚めると、みんなが寝る頃だったのでバスで帰る。
●「沈黙の艦隊」を終日読みふける。
滞在させてもらってるHの部屋のリビングの棚に30数巻が並んでいて、なんとなく読み出したら止まらなくなった。夢中。とりあえず
25巻くらいまで読む。まずい。これ読み終わるまで出かけられない。Hにきくところによると、かなり大人気の漫画で映画化までされていたというのだけど、全然しらなかった。大統領選挙前になんてタイムリーな漫画をみつけてしまったのだろう。そして旅行に来てまで何してるんだろう、なんてことは全然おもわず。これぞ旅行の醍醐味。旅行先の宿で日がな本を読むとかって、これ以上ない贅沢です。
●夜、HBのお宅訪問。なんだかとてもいい部屋だった。
●昼、PS1のオープニングに行く。「韓国、沖縄の写真展」は17日から始まっていたのだけど、それ以外のたくさんの展示が今日から始まるということでたくさんの人がきている。「韓国、沖縄の写真展」にもたくさんの人が来ている。ただ、Tと僕で来場している人たちに展示の感想を訊くという仕事がもう大変。先日一足先に帰国した韓国人写真家でカラオケ好きのアンさんの為の記録として、来場している人にこれらの作品をみて率直思ったことを述べてもらいそれをビデオに収める。とりあえず「どう思いました?」とは訊けるのだけど、やはりタイムリーな話題なだけに大抵のアメリカ人は自分の考えを丁寧に述べてくれる。それも結構な勢いで。それは凄く嬉しいのだけど、困ったことは何言ってるか分かんない。難しい言葉で答えられると、もう解読不可能。でもとりあえず「アッハー、サンキュー」とか言うしかない。こんなにちゃんと答えてくれているのに、ほんと申し訳ない気持ちになる。ごめんなさい。僕らは意味は分からないけど、このビデオを観るアンさんはちゃんと意味わかりますから。
沖縄の県人会の人達の踊りも素敵だった。
●その後、その写真展に関わった人たちみんなでチャイナタウンへ。オーガナイザーのKさんの招待で上海何とかっていうショウロンポウが旨いという店に。で、ショウロンポウうまい。ものすごい旨い。30人くらいの人が来ていたのだけど、そのショウロンポウを初めて食べる人はもうみんな味王みたいになっていた。
●Tと一緒に豊光さんを空港まで見送る予定だったのだけど、寝坊。豊光さん、Tにタクで迎えに来てしまうこととなる。ごめんなさいー。さようなら豊光さん。どうもいろいろありがとうございました。結局この時期にNYに来ることにしたり、いろいろ楽しく遊べたり、いろんな人に知り合えたのも豊光さんがPS1で展示をしているからというのが大きな理由で。ほんとお世話になりました。四谷か沖縄で今度また。お元気で。
●昼前に家に戻る。洗濯したり、Hの就職活動用の写真をデジカメで撮ったりする。日本にいるときに買ったというスーツがもう全然はいらなくなっているH。もうアメリカ人だよ、この人は。
●夜、ロウアー・イーストサイドにあるBoweryというクラブへ。mouse on marsのライブがあるという情報をW君から教えてもらったので行くことに。当日で入れて良かった良かった。しかも$14。やすーい。
前座のJunior BoysはNY初ライブらしい。演奏を始めた2人組は想像していたよりも全然歳をとっていた。全然Juniorじゃない。音源は聞いたことがあったのだけど、それよりも全然ださくて良かった。エレクトロニカ+80sボーカルみたいな感じ。特にキーボードの人の気持ち悪さっていったらない。
で、その後のRatatatというバンドの時は、よっぱらって寝てしまっていた。
で、mouse on mars。目が覚める。この前の夏にメタモルフォーゼで観たときは、なんか良くなかったんだけど、今夜はそんなことはなかった。ていうか、昔の曲をいっぱいやってくれたらもうそれだけで楽しいのです。大盛り上がり。で踊ってたら、今度は気持ち悪くなってきた。アンコールのところの記憶とかがあまりない。なんとか家までたどり着く。家の前でHに会う。深夜3時。今からグレイハウンドでボストンに行くらしい。がんばってー。
●昼、PS1へ。沖縄、韓国の写真展が始まってから、初めて観に行ったのだけど。設置の時のレイアウトとはまた変わっていた。とりあえず全ての写真の配置がシンメトリー。いくらなんでもこれはひどいと思う。
●PS1で働く韓国人のJさんのアトリエがブルックリンにあるというので、そこをみんなで訪ねる。ベッドフォードという町。ニューヨーカーのHから聞くところによると、どうやらその町は今おしゃれにグイグイ来ている、もしくは既にかなりオシャレ、という町らしい。実際、そのアトリエ自体は落ち着いていてとても素敵だったのだけど、町にあるレストランやカフェはもう嫌らしいくらいオシャレだった。ちょっときもい。いや、それも別にオシャレだから気持ち悪くなったとかではもちろんなくて。ただもうお酒をのんでしまったからなのです。御飯はとても美味しかった。
●そのあと、連れられてマンハッタンに戻る。今回そのPS1でも写真を展示している韓国人写真家のAさんはどうやら大のカラオケ好きらしく。みんなでカラオケに行くことになる。のこのことついていく。アメリカでカラオケなんてどうしたって適当な英語の歌くらいしかないんだろうと思っていたのだけど、もう全く間違っていました私。恐縮です。DAMでした。
ニューヨークに来てまで加山雄三と高田渡を歌うことになるとは。もう感激です。
●夜半過ぎ、豊光さんを宿まで送ってから帰る。
●て、ここまでのニューヨーク滞在を振り返ってみると、横文字の地名が出てこない限り、もう全く東京にいるのと変わらない生活をしている。旅行ってこんな感じだっただろうか。ちょっと違うとおもう。きっと横文字の地名がまだ足りないせいだ。もっと横文字。もっとアルファベットを多用していこう。もう旅行が終わる頃には、全部カタカナになっているのが理想のかたち。
●南米にいるKからメールが来た。彼は月末にはNYに戻ってくる予定だったのに、どうやらNYにはもどらずそのまま日本に一時帰国するらしい。おーい。もうACの変換アダプタから何から何まで勝手に借りようと思っていたのに、全ての計画が突如くずれた。どうしよう。。。っていうか、僕は勝手にKJを頼りにしてました。ごめーん。自力でがんばります。NY戻ってくるとき分かったら、また連絡ください。
●ニュージャージー州アトランティックシティへ。
ニューヨークからバスで3時間のこの街へ行く理由はただ一つ。カジノです。求めるものはただ一つ。一攫千金です。Tさん、Tと一緒に昼前のバスにのって出発。ハイウェイを走るバスから見える風景はニューヨークとはうって変わり、いかにも大陸っぽいひらけた景色が広がっている。後ろ席に座っている太った白人が大いびきをたてて寝ているのがまたアメリカ然としすぎですよ。こうなってくるともう「スーパーサイズミー」が観たい。もうこっちでは終わってしまっているんだろうか。
●もう僕だけ勝っちゃったらほんと申し訳ないなあ、って思ってたら、結局わたくしの一人負け。
もうびっくりですよ。
最後に残った20ドルでルーレットに挑戦したら、あっというまになくなるわ、周りのヤッピー達に可哀想な感じで観られるわ。もう散々。そして2人のところに戻ってみると、あら、Tなんかスロット打ち止めしてます。おーいっ!おめでとーっ!
でも1250ドル勝ったTは税金で33%も持っていかれていた。1200ドル以上から税金が発生するらしい。それってもの凄く納得がいかない。1200ドル勝った人は800ドルしか手元に残らないのに、1100ドル勝った人はそれをそのまま受け取れる。それっておかしくないですか。
僕が負けたのもなんかおかしくないですか。僕がまけたのもその訳の分からない税制のせいですか。なんてことをこっそり思っていたのだけど、きっとそれは違うので誰にも言わずに心の小箱にしまっておいた。
●夜、ニューヨークに戻る。またもイーストヴィレッジで御飯。恵比寿という日本料理屋で総勢7名で御飯。とても美味しかった上に、カジノ勝ち組に奢ってもらう。ごちそうさまでした。
●豊光さん、Hと一緒にJapan Societyへ。東松照明の個展を観に行く。すっごい良かった。写真集以外でこんなにまとめて東松さんの作品を観たのは初めてだったのだけど、ほんとかなりの衝撃。この人はほんと自由に行き来している。沖縄出身じゃないところが大きいのかどうかは知らないけど、東松さんの沖縄の写真はいい意味で重さがないように思える。なんていうととても偉そうでほんと申し訳ないのだけど、いやほんと。基本的にはスナップなのにまるで厳密に計られたかのような構図にもうひたすらびびる。
そういえば東松さんの長崎マンダラか何かの本に若かりし頃の豊光さんが被写体として登場していた。豊光さんと東松さんのような関係。そういうのが何だかとても素敵なのです。
●で、そのあとグラウンド・ゼロ観に行く。僕はてっきり安藤忠雄がまん丸っぽい何かを作っているのかと思っていたのだけど、そうではなかった。なんか新しくビルを作るための土台のような工事が着工していた。その工事現場を囲むフェンスには、これでもかというばかりの9.11の写真がのっている。もちろん写真はレタッチしてある感じ。これでもかというばかりの劇的な風景が展開していて、そしてそれをまじまじと観る私たち。被害者の名前のようなものがリストアップされていて、そのキャプションは「Hero of 9.11」とか何とか。よくわからん。
●Japan Societyに戻る。豊光さんの知り合いで、都写美でキュレーターをしているという笠原美智子さんという方の講演があるというのでそれを観る。テーマは現代日本写真(女性写真家をクローズアップ)みたいな感じ。ID400という作品の(名前忘れてまった)人などが語られていた。勝手な思いこみで、その講演のテーマは東松さんだとばかり思っていたので、少し残念。
●イーストヴィレッジで御飯。豊光さん送って、そのままW君の家へ。ちょっとプリンターを使わせてもらい、おいとまする予定だったのだけれど、例によってまた睡魔には勝てず。Mちゃんが再生してくれていた「青い春」を観ながら、松田龍平が屋上で手をたたいていたところまでは覚えている。かなり序盤。
●コロンビア大学へ。豊光さん達、PS1で展示している写真家がコロンビア大学でパネルディスカッションをするというので、観に行く。コロンビア大っていったらウタダヒカルいるところ?アイビー?ポール・オースター?名門じゃないですか!
大学も広くて恐ろしく綺麗。もうそのものすごいゴージャスぶりに感動する。アイビーか。これがアイビーの世界。そんなこといったて!僕も、一応着ているカーディンガンはブルックスブラザーズ。やれてる?おれ、ちゃんとやれてる?
そんな余計な心配よりも、なによりも心配なのは今日のパネルディスカッションなのです。
聞いたところによると、この前沖縄で催されたパネルディスカッションで豊光さんは沖縄言葉しか話さなくて本土の人は誰もわからない、という事態になったらしく。今日も彼がそんなゲリラ活動をしたらまずいなあと勝手に心配していた。で、やっぱり豊光さんは沖縄言葉で挨拶を始めた。通訳の人も誰も分からない。分かるのは豊光さんの隣にいる石川真生さんくらいだろう。まずいまずい、と思ってたら、一般日本語で話し始めた。よかったよかった。
内容は「韓国、沖縄、米軍基地」という問題についてなのだけれど、ディスカッションの例にもれず結論なんかでるはずもない。ましてやニューヨーク、コロンビアという場所で行われているこのディスカッションで、今度行われる選挙でブッシュに投票するような人がいるはずもないと思う。ただ在米韓国人の人がいった質問に対しての真生さんの答えに感動した。
その在米韓国人の方の、
「米軍がいなくなったら、北朝鮮だったりその他の驚異からどのように自衛するのか。」
というよく聞かれるこの質問に対して真生さんはただこう答えた。
「そんなことは余計なお世話なんだよね。」
●その後、パネルディスカッションを聴きに来たH、HB、T君と豊光さん、5人でイーストヴィレッジのさっぽろという日本料理屋へ。ここ4年くらい前にニューヨーク来たときも誰かに連れてこられた気がする。安くてうまい。ごちそうさまです。
それにしてもHBおひさしぶり!東京であったときに既にかなりハイテンションな人だとは思っていたけど、ここ彼のホームのニューヨークではそんなもんじゃなかった。もっとハイテンションだった。豊光さんの特大写真を丸めた筒をバズーカ砲に見たてた時はどうしようかと思ったよ。撃たれた方がいいんだろうか。