映画「天のしずく」の感想だよ〜。
ドキュメンタリー映画「天のしずく」公式サイト | 料理家 辰巳芳子の物語
ーーー
フリーランスのデザイナーという職業柄、様々な業種や専門の方々に会う機会は多い方だと思うが、その中でもこの映画との出会いは印象深かった。今年の初夏のころ、本作の監督である河邑厚徳監督の著書「エンデの遺言」との出会いと時期を同じくして、知人の紹介により本作品のウェブサイト制作のご相談を頂いた。この時点ではもちろん河邑監督や制作の方々、まだ誰とも会ったことはない。さらにもう一つ付け加えると僕は東京に住んでいない。原発事故をきっかけに10年以上住んでいた東京を離れ、沖縄に移住している。担当の方はそれをご存知なのだろうか。沖縄とのやり取りでも大丈夫なのか。まずそれを確認した。それでも大丈夫だという。ありがたいお話だ。二つ返事でお受けさせて頂くことにした。
7月末、打ち合わせの為東京に赴いた。プロデューサー小泉さん、河邑監督、制作の増子さんとの顔合わせ。11月3日に公開が決まっている映画のウェブサイト制作がこのタイミングで初顔合わせ、さらに発注先は沖縄である。中々腰が据わった進行だ。グループ現代はいつもこうなのか。さすがドキュメンタリーを生業とした映像集団だ、などと関心している暇もなく、そこからは怒涛の1ヶ月進行でサイトを制作、何とか公開できる運びとなった。制作の増子さんの助力なくしてこのスピードでの公開はできなかっただろう。
サイト公開に向けてのラストスパートに差し掛かる頃、宣伝担当の有田さんと然さんがプロジェクトに加わり、ここでさらにスピード感が増した宣伝チームは一気にTV、ラジオ、雑誌のみならずウェブ、ソーシャルメディアを巻き込んでのラストスパートに突き進んでいる真っ最中である。
その一端がこの文章でもある。
つまり何が言いたいかというと、みんな忙しいのである。
もちろんそれはこの映画に関わっている人だけではなく、この国で今を生きる大半の人がそうであると想像できる。とにかくみんな忙しい。働いてたら働いていたで忙しいし、働いてなけりゃないで何かしなきゃという思いに追いかけられる。本屋の面前に渦高く積まれ陳列される多種多様な働き方、社会との関わり方を指南する本の山をみれば、そこにはその生き方、働き方を考える行為自体をもの凄いスピードで消費させていくこの社会の在り方と改めて向き合うことになって更に疲れる。
そんな毎日の中、本作品「天のしずく」を観ると、そんな日々日常とは違った世界が映しだされていた。
作品の形容方法として「未知の領域へ踏み込んだ」というような書き方をよく見かけるが、一見すると本作品はそれとは真逆の世界だろう。ミシュランで星がつく料亭が扱うような特別な食材も、玉手箱的な物言いもどこにも出てこない。顔を知った農家の方が育てた食材を、辰巳芳子が丁寧に料理し、顔の見える間近の人達に振る舞う。「食べること」によって縦横に広がる人と人とのコミュニケーション。かつては日々の営みとして当たり前に行われていた事である。その営みの意味を辰巳芳子の言葉と手仕事を通して再確認していく作業には、日本人として心に響くものがある。地獄炊き、根性鉄火みそ、ポタージュサンタマリア…。
同時に食べることの難しさを感じる。
咀嚼するという運動に引っ張られて気がつきにくいが、現代において私達一人一人が持つ「食べること」に対しての出発点は元々相当に離れているのじゃないだろうか。生まれ育った環境に通じる出発点から、今を通過して、人生の帰着点となるであろう場所へ。その間に何を食べるかはまさに私達次第なのだが、時間のない時に空腹を紛らわしカロリーを摂取する為だけの流動食や、味よりも先にロゴマークが脳に刷り込まれているようなファーストフードがデフォルトになっているような現代において、きちんと食べることと向き合うことはとても難しい。
身体や環境の事を考え自分達や子供達が食べる物を考える行為さえ、時には過激な思想のように思われたりすることがある。そして大抵の人はその距離の隔たりに絶望したり諦めたり、見ない振りをするのだが、辰巳芳子はそうではない。その距離さえを楽しむように「おいしいわね〜。」によって軽やか超えていく。その姿はアスリートのような力強さに満ちている。本当の意味での料理家の姿を観た気がする。
こないだ東京出張の時に時間見つけてみてきました。この各所で話題沸騰の大林監督からの震災、核、原発問題への答え、というよりはそんなことに留まらず史実、事実とフィクション、ドキュメンタリーの全ての垣根と映画的法則をとっぱらう大問題作。これは本当にヤバかった。大変なことになりました。中程からなんで泣いているのか分からないけれど涙が出てきて止まらないという、言葉じゃなくて理屈じゃない、全身で受け止める体験として映画。そんな体験は昔はたくさんあったような気がしますが、最近はそうそうなかった気がします。
その次の日、たまたま1年ぶりに連絡をもらって会うことになったクライアントに、東京駅での打ち合わせを指定されました。打ち合わせ後、なにげなくこの後どこに出張なんですか?と聞くと、
「出張じゃないよ。長岡に花火みにいくんだよ。」
と言われ、ええ〜僕の昨日この空の花見たばっかりなんですよ〜と意気投合。打ち合わせ前にその話でてたら打ち合わせにならなかったよ、というような偶然がありました。
長岡花火みにいきたい。来年行けるかな。
この作品、ぜひ沖縄へも。桜坂劇場でもやってもらいたい。
ーー
社長、この花火観に行ったんだ〜。美しすぎる。YOUTUBEでも涙でてきた。
コクリコ坂から 公式サイト http://kokurikozaka.jp/
こないだジブリの新作「コクリコ坂から」を男2人で観てきた。最初自分一人で観に行くつもりでウェブで指定席買ってたので、昼飯一緒に食べてて何となく一緒にいくことになったキヨちゃんはチケット売り場に並んでチケット買った。
結果として本当これで助かったというか本当隣同士じゃなくてよかったわ。
ていうくらいに泣いたよ俺は。
震災起こるの分かってたの?!というくらいのピンポイントなテーマに時代背景に挿入歌。この時代を生きていた祖父母の世代と直接触れ合っていたから、頭ではなく感覚としてこの時代の空気がスーッと胸に入ってくる。そんな気がしたんだけどそれはアレでしょうか。おっさんの勘違いでしょうか。
宮崎吾朗監督の前作は本当にジブリ史上最高の駄作だと思うのだけど、今回素晴らしすぎて前作が改めて気になってきた。前作ゲド戦記はテーマがかなり高尚で、だがその難しいテーマにあえて挑んだ結果、途中で「もう面倒くせっ!言葉でそのまま言っちゃうよ俺は!」というようなある種気持よさすら感じる諦めがあった。
今作との違いは大きい。今作はそもそも言葉にできることしか描いてない。宮崎駿的な考えさせるマージンを残すという曖昧さがない。そういう意味で何も考えなくていいリラックス感。完全に見聞きできるストーリーの中に入り込める快感がある。でもそれ結局同じ事というか方法が違うだけで着地点同じみたいな。終盤の畳み掛けや過剰な音楽なんかもジブリっぽくないっていうか結構いい意味でえげつなかった。サマーウォーズ思い出した。
個人的にはカリオストロへのオマージュのように感じた坂のシーンが一番ヒット。
109シネマズMM横浜へ。公開時からずっと観たかったイーストウッドの新作「インビクタス〜負けざる者たち〜」観た。
最高でした!
ネルソン・マンデラの釈放、大統領就任、アパルトヘイト撤廃という90年代の激動の南アフリカを、当地で開催されたラグビーワールドカップを通して描く。シンプルだが重いテーマとがっぷりと組み合っている。
「チェンジリング」「グラントリノ」と最近のイーストウッド映画は現実をベースにしているものが多く、もう骨太の一言で十分すぎる男気があふれている。そして今作もそのラインの最終地点というような男気の塊。スポーツ!サポーターの群衆と歓声がこんなにも感情的なものだなんてこれまで知らなかった。僕は人並みにスポーツは観る方だし、実際にサッカーをやったりする。でもサポーターと呼ばれるような人達には興味はあまりなく、どちらかというとそこからは一歩ひいてスポーツをみているような気持ちさえある。スポーツに限らず、好きなんだけどその群集には混じりたくない。そんなスタンスは日本人には特に多い気がする。何がなくともまずはグラウンドに入らないといけないと思われ、結局はそれだけのことでしかないと思う。
なぜかドイツW杯予選の際に行われた日本VS北朝鮮の無観客試合が思い出された。あの違和感、喪失感はすごかったな。この映画のある部分はそれを補完してくれてる。
それにしても南ア・ラグビーチームの主将役のマット・デイモンが本当にハマリ役。「あの子は良い子やね〜」と友達のお母さんにもれなく言われるキャラ。だてにハーバード出てないな〜。
素晴らしい映画の余韻を楽しむ間もなく、その後はエレ片フェスへ。。
「(500)日のサマー」観た。来年度から、娘が入る予定だった区の認可保育園への審査が落ちて、今年一番の落ち込みが来たところの気分転換に観に行ったのだけど、本当に気分転換できました。ありがとう。
素晴らしかったな。すべてのヘタレ男子に送るわ。女子はこういう子を目指せば全ての男子(ヘタレ限定ですが)イチコロだと思われます。だいたいスミスをヘッドフォンで聞いてたら「スミス、好きよ!」なんて気づいてくれる女子なんて素敵すぎる。そんな女子、いねーって!そんな女子、岐阜にはいねーって!
地方でクイーンイズデッドのVHS通販で買って「うわっ!これ監督デレク・ジャーマンなんだ〜!」とか一人モンモンとしていた世代にはキャッチーすぎる導入ですよ。
で、ただ単純にオサレで可愛くてサントラも良くて〜みたいな映画じゃなくて!ともするとそういう、いちオシャレ映画に着地してしまいそうなモンですが、この映画それ以上の大事なものが詰まってました。ポイントがグリーティングカードってのがこれまた絶妙な感じで。こそばゆくなりそうでならないバランス感なのです。
とかいって完全盛り上がってるけど、どうなんだろ。。そんなことないか、いや、あるか。。
スミスの時点で完全ノックアウトされてるから正直何も分かりません。
サントラ欲しい。
アバター観たよ。
途中まで3Dメガネを反対に欠けてしまっていた。ずっと気がついてなかった。近視なもんでメガネの上に、3Dメガネ。つまり3Dメガネ on メガネの体制だったこともあり気が付きにくい状態だったんだろう。映画が始まった時も、周りからは「おお〜すげ〜」「うわっ!」 などの様々な感嘆の声が聞こえるのだが、正直、僕には届いてなかった。「あれ?こんなもん?」「思ったよりすごくないな?なんか昔の赤青メガネとあんま変わらなくね?」程度の思いだった。この時にメガネの状態に気がついていればと悔やんでもそれは後の祭りである。そして最後の戦いに臨もうという時、メガネの位置をずらそうとした。そこでやっと気がついた。
あ。メガネ反対だ。
上映中、かなりの序盤から鼻が痛かった。
そして僕は一人おくれて驚きの声をあげた。
「うわっ!ナニコレすげっナニコレ」
感想はアバターから3D取ったら何も残らん、ということ。
鼻が痛いという記憶しかない。
先週「アンヴィル」観た。素晴らしかった。ちょうどその日、仕事で相当気が重くなるような出来事があったのだが、そんなことどうでもよくなるくらいのもの凄いパワーを頂いた。極力ネタバレしないように書くが、というかそもそもネタバレもくそもない。オーバー50のメタルバンドのドキュメンタリーということは、この映画を観に劇場に足を運ぶ人はメタルファンじゃなくても分かっている。そのバンドが頑張っているということ以外には何もない何とも潔いドキュメンタリー。それはそうとしてだいたい撮影も編集もとにかくひどい!場所も時間軸も何も分からない。とか言ってると何ともひどい映画じゃないかと思われるかもしれないが、そんな編集やら撮影やらの作法なんて関係ないところにこの映画の主人公は生きている。その生き様にガツンとやられた挙げ句、しまいには「あ。このひどい編集もアンヴィルを際立たせる編集!それが編集か!」ということになった。ガッテンガッテン!てな具合に腑に落ちる。でもなぜか日本のシーンだけ撮影編集の質が違いすぎたり、結局誰が一番偉大かってそれは支える嫁でしょというあたりも印象深い。そしてやっぱりロックは40過ぎてからということを再認識。そんな素晴らしい作品。
一緒にアンヴィル観たあらたと一緒に西荻まで歩く。近いけど道が分かりづらい。風神亭でご飯たべた後、嵐のベスト盤を借りてから帰宅。夜の自転車移動は結構寒くなってきた。
西荻のロンドン。
先週土曜午後新宿へ。こやまさんに誘ってもらい「パンドラの匣」初日へ。富永昌敬監督はじめ、染谷将太、川上未映子、仲里依紗、窪塚洋介、ふかわりょう、洞口依子という豪華な舞台挨拶付き。てっきり試写かと思ってたので、生・洞口依子がみられた時の興奮ったらない。ソリトン出てた時と何ら変わらないというか、年齢を重ねてもう艶やかというしかないオーラで包まれている。着物をまとう洞口依子、無茶綺麗。
それはそうと本編。面白かった!モラトリアムと不可思議な艶めかしさが良い塩梅にミックスされた青春映画、といっていいかどうかわかんないけど、青春映画。まず一番印象深かったのは、主役の染谷将太の素晴らしさ。上映前の舞台挨拶では特に何とも思わなかったというか、やっぱり卍丸ことクボヅカ先生の印象が強すぎたのもある。上映がはじまると一気に惹かれた。撮影当時16歳という彼の映像映えは半端ない。声もいい。後は脇を固める俳優陣もすばらしい。なかでも越後役の小田豊と、竹さん役の川上未映子が最高だった。川上未映子といいKIKIといい洞口依子といい、完全に徳永監督の好みなのか何なのか、爬虫類系の女優陣がたまらない人には本当にたまらないだろう。かくいう僕もその一人。
全体から受ける印象は、相変わらずの富永節というか富永マジック。富永監督の画が、菊池成孔の音楽と混じり合ったときの独特のサイケデリアは代替不可な高揚感をもたらしてくれる。今回の作品は、太宰治原作の物語なので富永監督のオリジナルストーリーではない。だけど「亀虫」(からしか観ていないので)から続く独特の富永節が今作でも健在だなあというような箇所がところどころにあるのだが、後から聞くところによるとそれは原作の台詞回しそのまんまとのこと。奇妙なシンクロ。あとは美術から衣装からいちいち洒落ている。そのあたりがもう本当に嫌味じゃなくセンスがいいというか。うっとりしちゃう。僕の中では富永作品は、ウェス・アンダーソンが撮るような作品から感じる感覚にかなり近い。
ちなみにこちらのPVも富永監督作品。
歌:やくしまるえつこ(相対性理論)、作曲:近田春夫。
誘ってくれてありがとうございます!
「幻影師 アイゼンハイム」観た。面白かった!スカーレットヨハンソンでてた「プレステージ」もイリュージョンもので、これと同時期に上映していた気がする。プレステージの方は観てたんだけど、それよりこちらの方が面白かった。地味と言えば地味な展開だし、ぱっとみ知ってる俳優はエドワード・ノートンくらいしかいない。でも脇を固める俳優陣は見応えたっぷり。「プレステージ」のオチは何か突拍子無いところに向かっていった記憶が何となくあるのだけど、それに比べてアイゼンハイムは裏切らない。最後まで誠実なのだ。これでヒロインがスカーレットヨハンソンだったら最高でした。
面白かった!
昼仕事。夜、お台場へ。「サマーウォーズ」観てきた。お台場の映画館、初めてきたけど平日夜だからか、大変なガラ空き。面白い面白いという評判しか聞かないので、もう相当面白いんだろうなと構えていたのだけど、予想以上に面白くってびっくりした。「夏休み」でラッピングされたトトロと、エヴァと、電脳コイルのごった煮をいきなりプレゼントされたような映画。幸せだったわ。後半泣けてしょうがなかった。
主役の声やってた神木君、よかった!あと全然しらないけど、夏希の声もよかったねえ。で、谷村美月いいな〜やっぱりいいな〜。
この夏も「レスラー」「ディア・ドクター」「エヴァ破」「色即ぜねれーしょん」などなど素敵な映画満載でしたが、これ1番。